茶の間の父を見た倒産の夢
どんな伝承か
昭和五十二年のこと。父の経営する会社が手形の件で行き詰まりかけていた。それを知った晩、語り手は茶の間で父が一人がっくりと肩を落としている姿を夢に見た。倒産するのだと直感して胸騒ぎがおさまらず、翌朝母に打ち明けたが、両親は目鼻がついたから大丈夫だと笑っていた。安心して出勤し、夜遅く帰ってみると、姉が夢は当たったと告げた。父は夢で見たとおりの姿でそこにいた。その日の朝まで、両親はすっかり安心しきっていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。