開戦直前に聞いたラジオの夢
どんな伝承か
昭和十六年(1941)十二月八日は月曜日だったが、その前の週の金曜日ごろ、浅川芳子は不思議な夢を見た。ラジオのニュースが中国との戦争を一時休止すると報じている夢である。当時、昭和十二年七月の盧溝橋事件に始まる支那事変は泥沼化しており、父は「もっと大きなことをやるつもりだな」とつぶやいていた。そして八日、大本営から重大発表があった。旧制高女三年生だった浅川は、なぜかこのことを誰にも話す気になれず、父にも打ち明けなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。