濃霧の高速で車に飛び込んだ女の顔
どんな伝承か
ニッポン放送で深夜番組の録音を終えた僕は、親しいディレクターを送るためタクシーに同乗し、六月頃、窓を開けて中央自動車道を国立方面へ走っていた。三鷹のあたりで急に目の前が灰色になり、高速道路を斜めに横切る濃い霧が出た。道路脇に黒い着物、黒髪の女が立つのが見え、近づくと着物は消えて顔だけが角度を変えながらはっきりしてくる。真っ黒なおかっぱに真っ白な顔で、背景が透けていた。二十五メートルほどに近づくと、その顔がフロントガラスに飛び込み、僕とディレクターの間を通り抜けた。帰宅後、妻も後から入ってきた何かを見ていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私は幽霊を見た(東雅夫(編者)・昭和中期~後期(推定1970年代~1980年代))
私は幽霊を見た=怖い怪異体験(東雅夫編)/人魂・鬼火・狐火/機関車・電車の怪/各地の幽霊目撃談/不気味な怪音と怪異