竹林寺門前で車夫が乗せた血の顔の女
どんな伝承か
十四、五年前のこと、大阪の本田にある竹林寺の門前で、一人の車夫が色の白い女を客に乗せた。女は九条まで行ってほしいと言ったが、その顔は一面血に染まっていた。行き先に着くと女はかき消すようにいなくなり、車夫は幽霊を乗せたと悟って逃げ帰った。その門前では以前、お作という女が夫の松吉に斬り殺されていた。お作の幽霊は松吉の枕元にも現れ、車夫に車賃を払ってやるよう言い残して消えたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化と幽霊 怪談揃ひ(大文館編輯部(編纂))
『お化と幽霊 怪談揃ひ』は、播州を中心に摂津・淡路・大阪・神戸の怪異を集めた怪談集である。神戸のチャブ屋に残された下女の片足の靴、明石の坊主橋に出る按摩の怨霊、西瓜に浮かぶ女の顔、淡路洲本の白壁物語、西宮のねてこが池の怪などを、地名と人名を挙げて講談調で語る。三十余りの話を並べ、天保や明治九年の出来事とする話のほか、寄せられた原稿によるとことわる話も含む。