大阪の旅館での女中の幽霊
どんな伝承か
長田幹彦が大阪で見たという話。ある旅館の屋上には涼み台があり、客が立て込んでいたため彼はそこに寝かされた。夜半に目を開けると月が出ており、簾の外を浴衣を着ていちょうがえしに結った女が行ったり来たりしている。商売女を呼んでくれたのだろうと思って声をかけると、その姿はいつのまにか消えていた。下りて女将に話すと「また出ましたか」と叫ぶ。翌朝聞くと、その床で長く胸を患っていた若い女中が亡くなり、三か月ほど後から姿が現れるのだという。見せられた写真は前夜見た姿とほとんど違わなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
あの世はあった―文豪たちは見た、ふるえた(三浦正雄・矢原秀人・2006年(平成18年))
『あの世はあった――文豪たちは見た!ふるえた!』は、三浦正雄と矢原秀人が二〇〇六年に著した、近代日本の作家や知識人の霊体験を紹介する読み物である。熱海の旅館で遠藤周作と三浦朱門が同時に遭った幽霊、佐藤愛子の心霊現象、菊池寛・宮沢賢治・小泉八雲・土井晩翠・新渡戸稲造・南方熊楠らの体験、夏目漱石の臨死体験を、本人や周囲の文章を引いて語る。一人一章の全十二章にまえがき・あとがきを添え、巻末に霊媒クランドン夫人の実験記録を付録として収める。