一年前に死んだ旧友と飲んだビール
どんな伝承か
明治四十四年、大阪のある弁護士のところへ、旧友の前中がひょっこり訪ねてきた。二人はビールを酌み交わして語り合い、前中は一時間ばかりいて帰っていった。ところが後になって、前中はちょうど一年前の同じ日にすでに亡くなっていたことがわかり、弁護士が会って話した相手は前中の霊だったと知れたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化と幽霊 怪談揃ひ(大文館編輯部(編纂))
『お化と幽霊 怪談揃ひ』は、播州を中心に摂津・淡路・大阪・神戸の怪異を集めた怪談集である。神戸のチャブ屋に残された下女の片足の靴、明石の坊主橋に出る按摩の怨霊、西瓜に浮かぶ女の顔、淡路洲本の白壁物語、西宮のねてこが池の怪などを、地名と人名を挙げて講談調で語る。三十余りの話を並べ、天保や明治九年の出来事とする話のほか、寄せられた原稿によるとことわる話も含む。