広島の友人からの手紙
どんな伝承か
荻窪の自宅に帰ると、広島高等学校時代の友人・大浜からの手紙が届いていた。文中には高等学校時代の恩師・中島光風先生が、二人の幼子を残して亡くなった奥方の後を追うように広島で死去したことが記されていた。大浜は「すべてを喪失した」と綴り、去年の秋に復員して京都大学に残っているものの、一度も講義に出ていないという寂寥とした心境を吐露していた。手紙の末尾には和歌が添えられ、差出地は奈良の丹波市になっていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私は幽霊を見た(東雅夫(編)・MF文庫ダ・ヴィンチ)
『私は幽霊を見た――現代怪談実話傑作選』は、東雅夫が編んだ怪談実話のアンソロジーで、メディアファクトリーのMF文庫ダ・ヴィンチの一冊である。平山蘆江・火野葦平・佐藤春夫・徳川夢声・遠藤周作・柴田錬三郎から石原慎太郎・新倉イワオ・稲川淳二まで、作家や文化人が自ら見聞きした幽霊や怪異を書いた文章を集める。目次には二十三篇と編者解説が並び、水木しげる・山田野理夫・桝井寿郎の座談「怪談詮議」や中岡俊哉「イタコの謎を追う」の抄録も含む。