東遊廓の娼妓が産んだ白鼠のような子
どんな伝承か
広島市東遊廓の有明楼に抱えられていた娼妓有明こと、大阪市新炭屋町出身の浜田とみえ(二十七)は、宇品町の水谷某の子を身ごもり、大正三年二月末頃に分娩した。生まれた嬰児は全身が真っ白で形は白鼠のようであり、頭蓋骨は一寸ほど凹み、顔は膨れ上がって口は縦に裂けて嘴のようになっており、足はごく小さいという稀代の畸形児であった。乳を吸う音高い姿はまことに物凄いものであったという。
原典より
広島市東遊廓有明楼娼妓の、有明こと、大阪市新炭屋町浜田とみえ(二七)は同市宇品町水谷某の胤を宿し、二月末頃分娩したが、…—— 日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。