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手習草紙の鬘をかぶって伊勢参拝した老僧

所在地三重県伊勢市豊川町(豊受大神宮)
年代明治〜昭和
登場不明
出典日本怪奇集成-明治大正昭和篇

どんな伝承か

明治二年十一月頃、岐阜県土岐郡のコケイ山にいた禅宗の老僧が伊勢神宮へ参拝に出かけた。山田の宿に泊まり、翌朝外宮へ向かおうとすると、番頭から、近頃は神主の取り決めで僧形のままでは参拝できないと告げられた。困った僧に番頭が差し出したのは、子どもの手習草紙を墨で塗って髷の形にこしらえた、玩具のようなチョン髷の鬘だった。僧はそれをかぶってどうにか参拝を果たした。維新後は仏教への圧迫が激しく、熱田神宮の鳥居の前にも僧侶の立ち入りを禁じる制札が立っていて、僧はまた苦笑したという。

原典より

しかもその鬘たるや、ほんの申訳け的なもので、墨で黒く塗りつぶされた子供の手習草紙で、型ばかりのチョン髷がこしらえてある、子供だましの玩具のような鬘であった。—— 日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)

『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。

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