両国回向院の盲人撃剣興行
どんな伝承か
明治のはじめには幕末以来の見世物がなお数多く残り、女相撲や撃剣を見せる小屋掛けが流行した。なかでも人目を引いたのが、両国の回向院の境内で打たれた興行である。当時の新聞によれば、盲人に相撲や撃剣をさせて客に見せるという趣向で、太鼓と拍子木が鳴るのを合図に、十数人の盲人が頭へ炮烙をのせて土俵に並んだ。指揮役の号令がかかると彼らは前後左右へ入り乱れ、宙をつかんで足を取られる者、隙を狙われて頭を打たれる者が続出し、打ち打たれて転げまわる有様は言葉にしがたかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。