馬の尾に巣を作った鼠と二十匹の子
どんな伝承か
加美郡西小野村の百姓菅久之丞の厩に、日ごとに元気をなくしてゆく馬がいた。手を尽くしても弱る一方なので、家の者が体をあらためたところ、尾のあたりに妙なものが見える。近づくと一匹の鼠が飛び出して逃げた。よく調べると尾の中に巣が作られ、二十匹ほどの子鼠がうごめいていた。逃げたのは親鼠だったのである。子鼠を取り除いてやると、馬はたちまち元気を取り戻したという。明治四、五年ごろの出来事だと同県の人が語った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。