笹藪から現れた女に化けた古狐
どんな伝承か
只野真葛の義弟沢口覚左衛門は、文化年間しばしば狩猟に出かけた。ある秋の日、昼すぎから雉子打ちのため犬をつれて山に入り、夕方近く河原から飛び立った雉子を一発で落としたが、犬は獲物を見つけられずに戻ってきた。やがて犬が新しい獲物を見つけて忍び鳴きをはじめ、銃を構えて見張っていると、河柳の林の隙間から女がやって来た。女の往き来する所でもないうえ、笹原を分け歩く足音もせず裾も動かない。声をかけても蛙のような変な声で答えるだけであった。ふと傍らの笹藪に狐の貌が見えたので、わざとあらぬ方を狙ってから銃口を向けて撃つと、女の姿も狐も消え、駆けつけると犬より大きい牝の古狐が斃れていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城県史 民俗編(宮城県史シリーズ・昭和中期(推定1960-1970年代))
宮城の民間信仰と禁忌(宮城県史民俗編)/禁忌を破る祟りと火玉/河童・狐狸の怪/年中行事と俗信/地域の幽霊・妖怪伝承