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狐に化かされた野口殿と博多ニワカ

所在地福岡県福岡市博多区
年代文政頃(明石酉軒の時代)
登場明石酉軒、野口某、狐に化かされたと演じられた藩士
出典炉辺叢書 筑紫野民譚集

どんな伝承か

ニワカ(仁和加)は博多人の気風を代表する名物で、祭典や花見の宴など到る処で行われた。純然たる博多方言を用いた滑稽劇で、笛と太鼓の合奏を交え、時に世を諷し時を嘲る趣向が人の意表を突く。起原は詳らかでないが、封建の世に苦痛を訴える術がなかった頃、文政の頃に黒田藩政に当たった明石酉軒が市民に自由な発表を許し、密かに下情を察して施政の参考としてから一層妙趣が加わったという。演目に二人羽織や野口殿の蕎麦畑がある。後者は、藩士野口某が家族と采邑に遊んで酔い、夜道に迷って田圃をさまよい叱責された一件を、狐に魅せられた話として脚色したものである。

原典より

野口殿の蕎麦畑こは藩士野口某が一日その家族を伴ひ采邑に遊び酔眼朦朧、御機嫌斜ならずして夜に入り歸途についた。—— 炉辺叢書 筑紫野民譚集(及川儀右衛門・1923年(大正12年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

炉辺叢書 筑紫野民譚集(及川儀右衛門・1923年(大正12年))

『炉辺叢書 筑紫野民譚集』は、及川儀右衛門が筑紫野で暮らした二年ほどの間に、土地の故老や下宿の老婆から聞いた話、教え子が書き送ってきた物語を文献とも照らしてまとめた民譚集である。筑後を中心に筑前・肥前・肥後・豊前・豊後の河童、怪火、長者の話、神事と歌舞、山と水の伝奇、狐狸や幽霊の怪異を六篇に分けて収め、多くの話に古記録を引いた〔註〕を添える。序の日付は大正十二年六月である。

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