踏切の向こうに立つ白いワンピースの女
どんな伝承か
梅雨明け間近の6月末、福岡市内に住む筆者は雨上がりの午後、バイクで市内の野池を回ってバス釣りをしていた。夕方、自宅アパートに近い池へ向かう途中、狭い踏切で電車を待っていると、遮断機の向こうに白いワンピースを着た髪の長い若い女がうつむいて立っていた。ところが電車が過ぎると、見通しのよい一本道のどこにも女の姿は無かった。1週間後、近くのバイク店で、前の年にその踏切そばの池で若い女性が2人、通り魔に殺されたと聞かされる。夏の夕立の帰り、久しぶりにその踏切を越えると坂でバイクが急に重くなって登らず、ようやく登り切ってミラーを見ると、坂の下にあの女が立っていたという。
原典より
登りきった坂の上でもう一度ミラーを覗くと、坂の下に白いワンピースを着た髪の長い女性が立っているではないか!—— 水辺の怪談3(水辺の怪談) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
水辺の怪談3(水辺の怪談)
『水辺の怪談3』は、釣り人が海や川、湖で出遭った怪異を、多くは体験者自身の筆で綴った実話怪談集である。東京湾の夜の一本釣り、男女群島の瀬泊まり、サイパン、北海道の夕張岳、利根川の利根大堰、大井川上流の支流などでの出来事を二十編収め、「海の章」と「川・湖の章」の二部に分ける。前半の十二編には、冒頭に書き手の居住地や釣りの経歴を記した短い紹介が付く。