長者の内儀が工夫した蓑笠の始まり
どんな伝承か
土淵村の大洞犬松爺が語った蓑笠の始まりの話。ある長者は三百六十五人もの召使いを使い、寝かせる時は一本の長い材木を皆の枕にさせ、夜明け前にその端を大槌で打って一斉に起こしていた。その頃は十日に一度雨が降ったが、内儀は一日休ませれば一年休ませたのと同じだと言って蓑笠を工夫し、雨の日も下人を野良へ出した。これに神様が怒り、それからは月に三度ではなく不規則に雨を降らせるようになったともいう。
原典より
その家のお内儀様は蓑笠といふ物を工夫して、それを下人に被せて雨天でも野良へ働きに出した。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。