福原縫殿と妻の幻
どんな伝承か
文化年間のころ、加美郡宮崎村の地方に福原縫殿という狩の達人があった。秘蔵のオキ笛を持ってある時山奥に入り、夕方になって獣を寄せる笛を忍び音に吹いていると、朝に別れたばかりの妻女が大木のもとに寄りかかっているのが、薄月夜なのにありありと見えた。女の身で来られるような山ではないので変化のものに違いないと、化かされた風を装って近づき、一発のもとに仕止めてしまった。ところがその姿はいつまでも確かに妻であったので不安になり、夜明けを待たずに急いで家へ帰ってみると、妻は変わることなく床に眠っていた。下僕を遣わして見に行かせると、それは年を経た獣で、棒にくくりつけて運んで来たという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城県史 民俗編(宮城県史シリーズ・昭和中期(推定1960-1970年代))
宮城の民間信仰と禁忌(宮城県史民俗編)/禁忌を破る祟りと火玉/河童・狐狸の怪/年中行事と俗信/地域の幽霊・妖怪伝承