身投げした盲目の娘を救った熊山の神仙
どんな伝承か
備前赤磐郡太田村大字中島小字梅に住む盲目の女、山形うめの話。生まれつき記憶力に乏しく音楽を覚えられないのを嘆いていた彼女は、十二、三歳の頃、安芸の厳島大神に火の物を断って祈願したが験がなく、失望して和気郡板根の橋から川へ身を投げた。すると熊山に住むという神仙に助けられて同山に伴われ、種々の教えを受け、十年間他言を禁じられた。彼女は神仙から白銀のトッコンという楽器、水晶の亀甲、鉄扇、剣の四種を授かり、禁厭の秘法をも伝授されたという。火の物を断って熊山に参れば、神仙の妙なる音楽を聞くことができると伝わる。
原典より
女はその数年間に神仙より白銀にて造れる長さ三寸ばかりなるトッコンと称する楽器一個、…—— 近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。