明治天皇が天覧した化物槌
どんな伝承か
広島の国前寺に伝わる如意宝ばけもの槌は門外不出の寺宝で、ふだんは厨子に納めて厳重にしまわれ、写真を撮ることも禁じられている。住職によれば、撮ろうとしてもなぜか写らないと言われるという。この木槌が長い秘匿の例外となったのは、ただ一度、日清戦争のときである。大本営が広島に置かれた折、浅野長勲が明治天皇に槌の話をすると、天皇はぜひ見たいと望み、長勲が使者となって寺を訪れ天覧に供した。天皇は科学的に調べてはどうかと述べたが、のちに調べても木の種類も年代も用途もまるで分からず、やはり化物槌だろうということになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪伝説奇聞(東雅夫・2005年(平成17年))
『妖怪伝説奇聞』は、東雅夫が二〇〇五年に学習研究社から刊行した妖怪伝承地の探訪記である。稲生物怪録の木槌、クダン、牛鬼、塵輪、ナメラスジ、八幡の藪知らず、鬼の骨、蛇骨、鍋島の怪猫、児啼爺などを追い、中国・四国・九州ほか各地の寺社や旧家を訪ねて遺物と伝承を確かめる。月刊誌「ムー」の連載「日本伝説紀行」の十二章を三つのカラーグラビアで区切り、巻末に草双紙『鍋島猫騒動』の復刻を添える。