上海から届いた夫の縁切鋏
どんな伝承か
国分の藤城つやが語る。昭和十八年の五月ごろ、出征中の夫が上海から鋏を送ってきた。ステンレスでできた軽い鋏で、黒い縁取りがしてあり、当時は裁縫がはやっていたので珍しがって送ってきたのだという。ところが後になって、それは縁切鋏だと人に言われた。言われて「ああ、そういうものか」と思い、鉄物などはよその人に贈るものではないと考えるようになったと語る。
原典より
〔行徳・南行徳〕15 お夏狐16 子狐と赤ん坊17 海老天の好きな狐18 狐の嫁入り20 火つけとタバコ屋稲荷21 タマヤの狐22 新場の狐 (1)〜(2)—— 市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。