勝四郎の妻の霊
どんな伝承か
『淺茅が宿』の勝四郎は、祖父の時代から豊かに下総の国葛飾郡真間の郷に住みついていた人だが、農作をめんどうと思って家が貧しくなり、絹商人の雀部の源次に従い、いさめる妻宮木を言いふくめて京へ向かった。秋には帰るという言葉を信じて宮木は待ちつづけ、言い寄る者を退けて戸を閉ざした。勝四郎は戦乱と新しい関所に阻まれて帰れず、七年の後にようやく故郷へたどりつく。雷に摧かれた松を目印に家に着くと、古戸の隙より燈火の影がもれ、いたう老いた妻の声が答えた。戸を開けて現れた宮木は黒く垢づき、眼はおち入り、結げた髪も背にかえって現の人とも思われず、物も言わず潸然と泣いたという。
原典より
それが、「淺茅が宿」に登場する、勝四郎の妻の名である。—— 日本の幽霊たち ― 怨念の系譜(阿部正路・幽霊・文学史・昭和) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の幽霊たち ― 怨念の系譜(阿部正路・幽霊・文学史・昭和)