大師を背負った蕎麦と断った麦
どんな伝承か
昔、お大師さまが旅をしていた。寒い朝で川を渡るのが冷たく、麦に「わしは年寄りだから、この川を負うて渡してくれ」と頼んだが、麦は「冷たいから」と断った。そこで蕎麦に頼むと「へぇ、ようがす」と快く負うて渡してくれた。それで麦は冬の百日を雪の下で暮らし、蕎麦は寒い冬も暑い夏も避けて実るのだという。また蕎麦の足元が赤いのは、冷たい川を負うて渡ったときに赤くなったのだと言い伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。