牛を引いて夜明け前に広げた村境
どんな伝承か
岸田川の支流田君川に沿って田君の村があり、そのずっと奥に後山の村がある。この二つの村の境をめぐって両村の氏神が長く争い、翌朝それぞれの村を出発して出会った所を村境にしようと決めた。田君の神様は歳徳神に供える米俵を牡牛の背に載せ、暗いうちに牛を引き出した。牛が歩かず苛立ったが思ったより奥まで入れたので、この辺でよかろうと牛を木につないだ。これが「こっとえ」という所である。また道端に腰を掛けて夜の明けるのを待った。ここが「あきまち」である。しばらくして後山の神様が大急ぎで飛んで来たが、先にいる田君の神様を見て驚き、どうすることもできず、随分広い場所を取られてしまった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。