賀茂大明神の勧請と八百比丘尼の石塔
どんな伝承か
須崎市多ノ郷の賀茂大明神についての記録である。祭礼は四月の酉の日、九月九日、十一月の酉の日を大祭とし、そのほか毎月行われる。勧請の記によれば、この社は津野氏の祖山内蔵人経高が延喜十三年三月に高岡郡津野庄床鍋へ下向した折に勧請したと伝える。一方で、若狭の八百比丘尼が賀茂大明神へ石塔を寄進した頃、故国の氏神への土産にしようと持ち帰ったという話が古くから津野で語られており、もし八百比丘尼の産土の社なら経高の勧請とする伝えとは時代が食い違うと記者は疑い、ただ古老の言い伝えを書き留めるにとどめている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。