徳善山に腰かけた大人の箸の石
どんな伝承か
海南町浅川の栗の浦の背後に、高さ三百五十メートルほどの徳善山がある。昔、大津波が来たとき膳が流れてきて山の上に据わったので、この名が付いたと語られる。その後やってきた大人がこの山に腰を下ろして一服し、腹が減ったので大きな茶碗で飯を食べた。飯の中に石ころが混じっていたため、大きな箸でつまんで放り出した。それが直径も高さも十メートルほどの丸い岩で、砂浜の中にぽつんと乗っており、島のように見える。語り手は子どものころ、あれは大人が箸でつまんだごみだと聞かされて育ったという。
原典より
<高木——「雲仙嶽」 柳田―「大人の足跡」>浅川にねえ、栗の浦いう所がある。—— 日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。