鬼の的を射る正月七日の門弓
どんな伝承か
宍喰町久尾には門弓と呼ぶ正月七日の行事があった。射手は青年二人で、宮に備えてある弓を用いる。的は竹を丸く編んで白紙を貼り、鬼の一字を書いたもので、榊二本に縛りつけて立てた。射手は一週間前から精進に入り、前夜は当屋の家に泊まる。当日の朝は川で身を清め、鉢巻きを締めて「天見て地、地見て天」と唱え、弓をまず天と地へ向けてから射たという。著者は的の鬼を厄神に見立てた攻撃型の呪術とみている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年))
『厄除け――日本人の霊魂観』は、佐々木勝が昭和六十三年に名著出版から刊行した民俗信仰の論考集である。鬼・悪魔・疱瘡神・一つ目小僧など人に災いをもたらす神霊を「厄神」と総称し、その来訪を防ぐ呪術と祀り上げる祭祀を、著者の民俗調査と国学院大学民俗学研究会の採訪記録などの事例から説く。禁忌と呪術、百鬼夜行と目籠、鬼の宿と笹神様、年神とミタマの飯、厄年と年祝い、正月行事と司祭者など八章からなり、うち四章は書き下ろしである。