正月十六日に訪れるおぼすな様と皿灸
どんな伝承か
秋田県山本郡二ツ井町では、正月十六日には神様(おぼすな様)が来るといって膳を作り、入り口に置く。この日はヤヒタテルといって、皿の上にモグサをのせて火をつけ、頭を病まぬようにと家族の者がまわして頭にのせた。昔は囲炉裏や炉ぶちや敷居にも、火の用心として皿灸をしたという。著者はこうした身体への呪術的行為を、従来のように稲作農耕に先立つ祓えと見るには時期が早すぎるとし、厄神の来訪に対する呪術が生業儀礼として取り込まれたものではないかと述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・昭和(1988))
民俗学者・佐々木勝が全国の民俗調査をもとに厄除け・厄払いの習俗を日本人の霊魂観から論じた研究書(昭和六十三年)。祖霊信仰・霊魂信仰・厄神信仰を背景に、防塞系呪術(防御型・鎮送型・攻撃型・潔斎型)と祭祀系呪術(供物型・奉迎型)に呪術を類型化する。本文は〔事例〕番号付きで全国各地の具体的習俗を多数収める。