物を言う牛と大晦日の賭け
どんな伝承か
昔、金持に使われている下男たちが集まった大晦日、主人は家に帰って妻子と正月をせよと言い、銭十五貫と肉二斤ずつを持たせた。銭より話が好きな者には話をやろうと言うので、山原へ帰る下男は銭を断り、牛巻カラクイという話だけを貰った。帰る途中の夕暮れの山中で、木に綱をからませた牛が声をかけ、クバ笠で水を汲んで飲ませてくれと頼む。牛は、自分は山田カンジェークの牛で、若い間はこき使われ、痩せると野原に捨てられたと語り、その家に泊まれと教えた。下男は牛がものを言うと主人と賭をし、いったんは牛が黙って窮したが、牛は語り出して主人が先祖の儲けを横取りしていると明かし、下男は財産を得た。さらに牛の教えで真栄田カンジェークの強い牛と賭の闘牛をし、角に枡と秤を掛けて向かわせると相手は怯み、勝ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。