御ほそ所に生まれた尚円王
どんな伝承か
尚円王は伊是名島の伊是名村字諸見に生まれ、その誕生地は今も御ほそ所と呼ばれている。産水を汲んだ井戸はアガイイズミカーといい、一帯は御願所になっていて、首里からも御願に来ていたという。臍の緒を埋めた畑の目印の石を、耕作の邪魔になるとして動かしたところ祟りがあり、物知りに言われて元の場所へ埋め直したという話も伝わる。尚円王は島を出る二十五歳まで諸見で百姓をしており、千原の谷にある逆田を耕して、旱魃でも水を絶やさなかったため人々に憎まれた。島を出てのちは国頭の奥間に移り、そこでも憎まれたが、奥間鍛冶屋に知らされて内間へ移り、やがて首里に召されて重んじられ、安里比屋の一言で王位に就いたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。