山神の前で聞いた天狗の空木倒し
どんな伝承か
伊達郡川俣町山木屋の菅野喜一郎は、幼い頃から体が弱く、山の神修験の取り子となった。七歳のある春の夜更け、修験に連れられ、百匁蠟燭をともして度胸試しに山奥の山神参りへ出かけた。山神の前で火を焚いていると、大木を伐り倒す斧の音がした。やがてバリバリという音がしたが、倒れる音はついにしなかった。修験は「あれは天狗のカラ木倒しだ」と言った。あたりは静まり返り、真っ暗闇で、恐ろしさに修験の裾にしがみついていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。