夫に化けて女房に石風呂を焚かせたむじな
どんな伝承か
大木を伐る仕事の家で、おかみさんが一人で留守をしていた。旦那が帰ってみると、おかみさんの姿がない。遠くの山に煙が見えるので、それを目当てに追っていくと、張り出した石の下の石風呂で、女房が懸命に火を焚いていた。岩陰から見ると、大きなむじなが石風呂の縁にとまり、尻尾でぴちゃぴちゃと湯をかけている。女房が湯加減を尋ねると、ちょうどいい、もうすぐ出ると答える。旦那が鉄砲を取って戻るとむじなは察して逃げ、立っていた女房を問いただすと、あんたが風呂を焚けと言ったから焚いていたのだと言う。すっかり化かされていたのである。
原典より
手平の短歌の先生とこへ行ったとき遅なってしもうてのう、先生に送ってもろうたんやが、あっこらさぶしいとこでのう、ドブのはたにお地蔵さんがあったんえ、そのお地蔵さんの一寸向うにうどんて書いた赤いちょうちんがつっちゃあって、そ…—— 現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年))
『現代民話考 11 狸・むじな』は、松谷みよ子が一九九五年(平成七年)に編んだ現代民話の資料集である。明治から現代までに各地で語られた狸・むじなの話を、聞き書き、読者の回答、郷土誌や民話集、新聞記事から集める。狸火、腹つづみ、音まね、いたずら、化かし、たたり、人助け、戦争にいった狸、今の暮しなど十二の部に分け、話例ごとに本文と類話の「分布」を添え、巻頭に序文と前文、巻末にあとがきを置く。