対岸の上結束に増えるムジナの提灯
どんな伝承か
長野県下水内郡栄村堺の山田貞作の話。十七、八の頃から馬方をして、大赤沢から中ノ平、見倉、清水川原へ出る中津川東岸の細道を、馬を引いて歩いたものだ。ある日、三人で馬方に行き、夜遅くなってから馬を引いて上がってくると、対岸の上結束の方に提灯がぶらぶらと、木の上から下って見えた。その提灯が二つになり三つになり、だんだん増えてきて、そのうちにすすけたような提灯がぞろぞろと出てきた。「野郎、ムジナの畜生、だましゃがるぞ」と言って藪の方へ石をどんどん投げたところ、それで火は消えたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年))
『現代民話考 11 狸・むじな』は、松谷みよ子が一九九五年(平成七年)に編んだ現代民話の資料集である。明治から現代までに各地で語られた狸・むじなの話を、聞き書き、読者の回答、郷土誌や民話集、新聞記事から集める。狸火、腹つづみ、音まね、いたずら、化かし、たたり、人助け、戦争にいった狸、今の暮しなど十二の部に分け、話例ごとに本文と類話の「分布」を添え、巻頭に序文と前文、巻末にあとがきを置く。