むじなのお産をとり上げた産婆
どんな伝承か
新潟県十日町市川西町千手村に伝わる話。長岡から来た産婆の木島さんが石沢家に宿をとって開業していたところ、ある秋の夜更け、二人の男が訪れ「お産で苦しんでいるから」と急いで真人の扇屋という宿へ連れて行った。難産の末に無事子が生まれ、木島さんは分娩料や反物、蕎麦の礼を受けて帰った。翌日、扇屋の縁者とされた春日の家を訪ねると、そのような出産はなかったと言われ仰天する。着物の背やすそは土だらけで獣の毛がついており、木島さんは自分がムジナのお産を取り上げたのだと悟ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年))
『現代民話考 11 狸・むじな』は、松谷みよ子が一九九五年(平成七年)に編んだ現代民話の資料集である。明治から現代までに各地で語られた狸・むじなの話を、聞き書き、読者の回答、郷土誌や民話集、新聞記事から集める。狸火、腹つづみ、音まね、いたずら、化かし、たたり、人助け、戦争にいった狸、今の暮しなど十二の部に分け、話例ごとに本文と類話の「分布」を添え、巻頭に序文と前文、巻末にあとがきを置く。