息づかいを伝える祖母の写真
どんな伝承か
八畳の座敷の壁には、亡くなった祖父(昭和二七年没)と祖母(昭和五三年没)の写真が並んで掛けてある。三年ほど前から、写真の祖母がまるで生きているように感じられるようになった。夜中にじっと見つめていると頬や口が動いて表情が変わり、着物が呼吸に合わせて揺れ、生前仕立物をしていた姿そのままに見えるという。隣に掛かる祖父の写真には、同じことは一切起きないのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。