父の頭を烏と見た烏田
どんな伝承か
伊野に烏田と呼ばれる沼田がある。ある夕方、子どもが父を探しに田のそばへ行った。父は沼田に落ちて死んでいて、頭だけが水面に出ていたが、子はそれを烏だと思い込み、家の人に、烏が一羽いただけで父はいなかったと知らせた。村人はこれを気の毒に思い、忘れないようにと、この田を烏田と呼ぶようになったという。
原典より
子供が夕方田の傍に父を探しにい つて、父が沼田に落ちて死んでゐるを知らず、頭のみ沼田の水面に出てゐたのを鳥かと思つて、鳥が一羽ゐて父はゐなかつたと家人に知らせた。—— 日本伝説名彙2 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙2
柳田國男監修『日本伝説名彙』の後半にあたる部分で、全国の伝説を地物の種類ごとに分けて集めた名彙である。塚の部(糠塚・七人塚・首塚・十三塚など)、坂・峠・山の部、谷・洞の部、屋敷・城趾の部(長者屋敷・朝日長者・白米城など)、祠堂の部(地蔵・薬師・観音・天神・八幡・稲荷・宮など)の各題の下に、府県・郡・村の所在地を頭に置いて各地の伝えを短く並べ、多くの条に出典の郡誌・伝説集の名を添える。