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放火女の心が見せた火の車

所在地島根県大田市波根町新市
年代不明
登場美濃佐七、体験者、伝承者、刃物鍛冶・体験者
出典幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵

どんな伝承か

石見の大田村新市に美濃佐七という刃物鍛冶がいた。ある暗い夜、近道をして田の中の小道を帰る途中、三、四十間先を火の色をした車輪が宙で回りながら薬師堂のほうへ進むのを見た。火は堂のあたりで消え、小さな火が三度灯っては消え、やがてぼんやり光る人影が近づいて来た。物陰から飛び出して一喝すると、それは村のある店の女房で、薬師の隣家に火をつけに行ったが、そのたび坊主が現れて果たせず、薬師如来に止められたと悟って改心したと打ち明けた。火の車はそのときの心の姿だったのだろうという。

原典より

暗い夜であつたが、約三四十間ばかりの先きに、地上二三尺の地点を、一個の火の色をした車輪がクッ/\と廻り乍ら北方の藥師堂の方へ田の中の小路を前進するのである。—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談)

『幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵』は、岡田蒼溟による霊怪の事例集である。祟る石、出雲の瀧姫行者、神西湖の妖怪、但馬の抜け首、黄金の精、海の牛鬼、天狗などの怪異を、著者自身の見聞や知人の談話、古い文書からの移載によって集め、明治・大正期の出雲や松江周辺の事例を多く含む。項目によっては【解題】や註を添え、事例の後に「第二編」と附録の「天狗考」を続け、巻末の「解説の欄」で生霊・疫神・物体の飛来などを心霊研究の立場から論じる。

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