参るたびに伸びる形見の人形の髪
どんな伝承か
青森に住む僧侶が寺の用務で北海道に渡り、空知の万念寺を訪ねたときの話である。用件は化け物とは関わりがなかったが、和尚の夫人が語ってくれた。大正八年に檀家の三歳の娘、鈴木菊子が亡くなり、生前片時も離さずかわいがっていた日本人形が昭和十三年に寺へ納められた。奉納から七年後、兄の末吉が参ったとき、納めたときは短かったおかっぱ髪が肩より長く伸びていた。以後、毎年五センチずつ伸び、今では腰の下まで垂れている。僧侶が見せてもらうと、夫人がまた少し伸びていると叫んだ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けは生きている —科学にとり残された霊の世界(平野威馬雄・1974年(昭和49年))
『お化けは生きている――科学にとり残された霊の世界』は、平野威馬雄が昭和四十九年に著した、怪異と心霊をめぐる読み物である。読者から寄せられたお化けの報告や沖縄の刑場・遺念火の話、霊視の体験、近世随筆に見える妖草妖木・狐・天狗・人魂などの物の怪、フォックス家事件やクルックスの実験など欧米の心霊研究を扱う。著者が始めた「お化けを守る会」の由来、西丸震也・星新一との座談会、透視や念力を試すテストを含む全七章に、あとがきを添える。