泣き声が廊下を歩く八幡の空き家
どんな伝承か
小倉市で化粧品のセールスをする女性からの投書である。仕事で八幡市へ行ったとき、上の原に近い変電所から北へ三分ほどの所に、一家が死に絶えた空き家があり、夜な夜な泣き声がすると聞いた。仲間と二人で懐中電灯を持ち、四間ある荒れた屋敷の茶の間に陣取ると、まだ宵のうちに台所のほうから女のすすり泣きが起こり、それは細い廊下を泣きながら歩いていくようだった。二人は玄関から飛び出して変電所の事務所へ逃げ込んだ。宿直の職員は、もう少し我慢していれば壁に人影が映ったのにと言い、二人は怖さのあまりその夜を宿直室で明かした。
原典より
すると、まだそう夜はふけていないのに、台所の方から、女の人が、すすりあげる、いかにも切々とした泣き声が聞こえてきました—— お化けは生きている —科学にとり残された霊の世界(平野威馬雄・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けは生きている —科学にとり残された霊の世界(平野威馬雄・1974年(昭和49年))
『お化けは生きている――科学にとり残された霊の世界』は、平野威馬雄が昭和四十九年に著した、怪異と心霊をめぐる読み物である。読者から寄せられたお化けの報告や沖縄の刑場・遺念火の話、長崎の宅島夫人の霊視、和漢の古書に見える妖草妖木・狐・天狗・人魂などの物の怪、フォックス家事件やクルックスの実験など欧米の心霊研究を扱う。著者が始めた「お化けを守る会」の由来、西丸震也・星新一との座談会、透視や念力を試すテストを含む全七章に、あとがきを添える。