伝染病はうつらぬと説く信者と衛生課長
どんな伝承か
「ひとのみち」信者の放言が市の衛生課との騒動になった、若松市での話である。市の産業衛生課長・大村が、教団の信者である老松町の中島理髪店へ散髪に行ったところ、居合わせた信者が店主に向かって、伝染病など絶対に伝染しない、市役所が蠅を買い上げたりするのは無意義だ、と話し出した。夏季の衛生取締りに神経を尖らせていた大村は聞き捨てならぬと憤激し、それが人の道の教義かと大激論の末に店を出た。新聞がこれを報じ、熱心な信者である市医師会副会長の加来公輔ら三名が市役所に大村を訪ねて宗教問答となり、喧嘩別れに終わった。若松署は教団の内偵に着手したという。
原典より
あらゆる方面に害毒を流してゐる「ひとのみち」だが、ここに信者の放言から市の衛生課ととんだトラブルを演じたといふ、若松市での珍談がある。—— 邪教に迷はされた人々(好村春基・浅野研真ほか編・新興宗教・邪教批判) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
邪教に迷はされた人々(好村春基・浅野研真ほか編・新興宗教・邪教批判)
『邪教に迷はされた人々』は、邪教撃滅聯盟の発意により浅野研真・島影盟・広木勇郎・好村春基が協同で編んだ本である。天理教・ひとのみち・生長の家・大本教などに迷って、病人が医者から遠ざけられて死んだ話、精神を病んだ話、行者に辱められた話、家や財産を失った話を、遺族や民生委員の手記、『大法輪』『婦人公論』昭和十一年の記事などから集め、八類に分けて並べる。後半に島影盟の邪教弾圧史と田所通世の取締法規の解説を付ける。