霊を見た官吏が病院へ入るまで
どんな伝承か
筆者が竹中を知ったのは前年の六月である。自治体の下級官吏で、中村古峡の著書には、ひとり居るところへ何かが現れたと記されていた。中村はそれを幻覚と指摘している。当時の様子を詳しく聞きたいというので、竹中のオートバイに同乗して向かう道すがら、彼はしきりに生長の家を勧めた。家は浄土宗だが人に勧められて天理教のお筆先に凝り、病は再発し金は取られるばかりだった、そこへ生長の家の雑誌が目に入り、あらゆる宗教を否定して神と直に向き合う姿勢に惹かれたのだという。薄かった頭に毛が生え、歯の痛みが引き、経文を唱えれば熱も下がり、止まった時計まで動いたと語る口調は熱を帯びていた。その秋、彼は精神を病んで入院した。
原典より
* 妖言と妄信と(大×教)* 妄想に憑かれた一家* 近眼は治つたか?* ひとのみちと歯医者三、人命を喪つたもの* 子供を欲した夫婦の盲信(金×教)* 生×の家に迷ひ一家悲運に陥る* 犠牲となつた夫—— 邪教に迷はされた人々(好村春基・浅野研真ほか編・新興宗教・邪教批判) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
邪教に迷はされた人々(好村春基・浅野研真ほか編・新興宗教・邪教批判)
『邪教に迷はされた人々』は、新興宗教や祈祷・迷信に惑わされて被害を受けた人々の実話を集めた本である。ひとのみち・天理教・大本教などに絡んで、病人が医者から遠ざけられて死んだ話、精神を病んだ話、教主や行者から暴行を受けた話、家庭や財産を失った話を、遺族や民生委員の手記、『大法輪』昭和十一年の誌上報告などから収める。被害を医療妨害・精神障碍・人命・暴行危害・家庭破壊・物質的損害・一家没落・其の他の八類に分けて並べる。