大塚町の私邸で向き合った福来と高橋
どんな伝承か
大正二年二月十三日の午後七時、小石川区大塚町七十番地の福来博士の私邸で、高橋宮二との会談がもたれた。世辞を言わない鉱山事業家と、世間と没交渉の学者である。応接室で向かい合ったまましばらく沈黙が続き、多津子夫人の取りなしでようやく笑顔が生まれた。高橋は、透視や念写の実験のたびに新聞に書き立てられるのは、学問を扱う者として不謹慎ではないかと切り出す。福来は同感だと答え、世間が騒げば能力者の心理に良くない影響が出ると言われても重ねて頷いた。売名ではないかと問われると、それは違うと居ずまいを正し、長尾家の実験でも新聞発表は戒めたのだと語り出した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
念写発見の真相(山本健造・念写・超心理研究・昭和(近代心霊研究史))
山本健造『念写発見の真相』を節単位で収録。念写(思念写真)の発見者・福来友吉博士の生涯と受難、千里眼事件(高橋貞子・長尾郁子の透視/念写実験)、弘法大師の御霊影をめぐる霊写実験(大師の御影・霊魂実在の証明法・霊地の発見・霊写の実験・結論)、福来学説の現代化と六次元原理・念論、福来博士の飛騨での幼少期から東京帝大・宣真女学校・高野山大学を経て記念館建設に至る軌跡を、各節の冒頭に【日付】【場所】【人物】【状況】マーカー付きで網羅。