祈祷を口実にした行者の罠
どんな伝承か
警視庁のT署に、乱れた字の投書が届いた。書き手は三十一、二歳の人妻で、下腹部の病にどんな薬も効かず悩んでいたところ、友人から四谷区のある教会の行者が祈祷で難病を治すと聞き、訪ねたのだという。行者は顔をしげしげと見て、前世の悪縁で坊主が憑いているのだから医者にかかっても薬を飲んでも治らない、自分なら三日通えば治してやると告げた。布施三十円を供えて通い始め、五日目からは横向きに寝かされ、呪文を唱えながら錫杖で頭から脚まで撫でられた。そして最後の日、今日こそ治ると言われて密室へ連れ込まれ辱められた。病はかえって重くなり、いまは床から起きられないと訴えている。
原典より
五、家庭を破壊されたもの* 本門八品浄風教会の掟* 暗い家族(ひ××みち)* 毒牙に斃れた姉(天×教)* 夫に捨てられて半狂乱(生××家)* 守田勘弥の死にまつはる家庭悲劇(金×教)* 娘を自殺させた狂信者* 教団に渦巻…—— 邪教に迷はされた人々(好村春基・浅野研真ほか編・新興宗教・邪教批判・昭和(戦前)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
邪教に迷はされた人々(好村春基・浅野研真ほか編・新興宗教・邪教批判・昭和(戦前))