朝詣りの不眠に狂い死んだ床屋
どんな伝承か
千住で床屋を営む竹村は実直な男だったが、若い頃の病が再発して尿道の具合を悪くしていた。乾物屋の石田に打ち明けると、医者では治らない、ひとのみちに入れば真心を捧げるだけで治ると熱心に勧められる。昭和十年三月、彼は入信した。最寄りの支部は亀戸で、月給四十円を投じて自転車を買い、朝四時に家を出る朝詣りが日課になった。夜十二時まで店を開ける商売でこれは無理で、妻は三日でやめたが夫は続け、眠れぬ日が重なって衰弱していく。支部に相談しても医者は許されず、三十八円のおみたまを受けよと言われるばかりだった。妻が無理に入院させたときには腎臓にまで膿がまわっており、九月三日に狂ったまま死んだ。
原典より
* 「寝行」の神様* ドン底の魔手(天×教)* 妻を殺したもの* ひ×のみちに入つて死んだ東京府会議長二、精神障碍を受けたもの* 迷信の極まるところ(扶×教)* 邪信と母親の間に迷ふ女(天×教)* 哀しき視霊者(生××家…—— 邪教に迷はされた人々(好村春基・浅野研真ほか編・新興宗教・邪教批判・昭和(戦前)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
邪教に迷はされた人々(好村春基・浅野研真ほか編・新興宗教・邪教批判・昭和(戦前))