おふりかへを待ち続けて死んだ重病の妻
どんな伝承か
広島県八重町の農家の妻は四十一歳で、長く治らない病に苦しんでいた。知人に勧められてある教団の熱心な信者となり、おふりかへによって病が治ると信じ込んだ。重い体を夫に支えられて車で広島市へ出向き、通りにある教団の支部で願をかけて待ったが、病人でも横になってはならない決まりのため長く座り続け、容体が急に悪くなった。夫は妻を背負って近くの旅館に泊めてもらったが、妻はおふりかへを待っているからすぐ治ると言って医師を拒んだ。見かねた旅館の主人が近くの医院へ担ぎ込んだものの手遅れで、妻はそのまま亡くなったという。
原典より
かくするうちにも容態は刻々と悪化するので、堪りかねた旅館主は無理矢理附近の医院に担ぎ込んだのであったが、遂に手遅れとなって、哀れにも死亡してしまったのである。—— 邪教に迷はされた人々(好村春基・浅野研真ほか編・新興宗教・邪教批判) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
邪教に迷はされた人々(好村春基・浅野研真ほか編・新興宗教・邪教批判)
『邪教に迷はされた人々』は、邪教撃滅聯盟の発意により浅野研真・島影盟・広木勇郎・好村春基が協同で編んだ本である。天理教・ひとのみち・生長の家・大本教などに迷って、病人が医者から遠ざけられて死んだ話、精神を病んだ話、行者に辱められた話、家や財産を失った話を、遺族や民生委員の手記、『大法輪』『婦人公論』昭和十一年の記事などから集め、八類に分けて並べる。後半に島影盟の邪教弾圧史と田所通世の取締法規の解説を付ける。