二つの車輪で走り去った自転車知らず
どんな伝承か
明治三十三年ごろ、回答者の母がまだ小学二年生だった時分の話である。町で立てかけてある自転車を見かけ、車輪が縦に二つ並んでいるだけの姿に目を丸くしていた。すると持ち主が家から出てきて、それにまたがってすいすい走り去ったので、母はさらに驚いた。帰って家族に話したが、母親も兄も本気にしてくれなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。