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出せば大風雨を呼ぶ元春公自刻の龍の頭

所在地広島県山県郡北広島町新庄(駿河八幡宮)
年代明治三十余年
登場江木千之、三上重雄、吉川元春、広島県知事、社司、龍の頭の彫り手
出典岩邑怪談録

どんな伝承か

安芸の新庄村の八幡宮には、吉川元春が自ら彫ったと伝える龍の頭がひそかに納められていた。これを外に出せばたちまち大風雨が起こり村に大きな害が及ぶとして、神職も村人も、どれほど高貴な人に頼まれても決して見せなかった。明治三十余年、管内を巡回していた広島県知事の江木千之が参詣し、社司の三上重雄に拝観を求めた。三上は神威を恐れて固く断ったが、知事は冷ややかに笑って迷信だと説き伏せ、ついに龍の首を取り出させて見た。その夜、空が一面に曇って篠つく大雨となり、家を吹き破るほどの風が吹いて、村々は大水で田畑を損じた。人々はますます神威を畏れ、以後は誰に請われても龍首を出すまいと戒め合ったという。

原典より

古ヨリ新庄八幡宮二宝蔵シアル、元春公/手ヅカラ彫刻セラレシ龍ノ頭一個アリ。—— 岩邑怪談録(広瀬喜尚(増補:今田純一/続録・編:藤田葆/付録:静間密/昭和版編集:宮田伊津美)・1976年(昭和51年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

岩邑怪談録(広瀬喜尚(増補:今田純一/続録・編:藤田葆/付録:静間密/昭和版編集:宮田伊津美)・1976年(昭和51年))

『岩邑怪談録』は、岩国藩士広瀬喜尚の怪談録に後人の増補と続録を合わせ、岩国徴古館が昭和五十一年に発行した資料集である。岩国周辺で人々が出会った化物・大坊主・生首・怪火・狐狸・天狗倒し・幽霊などの話を収め、藤田葆が編んだ『岩国沿革志』のうちの二冊を底本に、なるべく原文のまま新字に改めて載せる。広瀬の本録に、今田純一の追加、藤田の続怪談録と実事談・変死、静間密の付録五話を続け、巻末に語注を付す。

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