中山に立つ興経堂と殉死した犬の塚
どんな伝承か
『芸藩通志』巻六十一が記す。吉川興経の墓塚は中山村の浄泉寺と呼ぶ地にあり、小さな堂の中に石を建てて印としている。俗に興経堂という。伝えでは興経の首を葬ったもので、遺骸は高宮郡深川に葬ったという。毎年三月十五日には岩国から人を差し向けて祭りを行わせた。堂のかたわらには大きな塚があり、興経がかわいがっていた犬が殉死したのをここに埋めたと言い伝えている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。