今櫛の池に身を投げた姫
どんな伝承か
西城町の大屋にある今櫛山の高みには竜王を祀る大きな池があり、七月二十一日に竜王祭が行われる。西城の城山から三河内の殿へ嫁ぐことになった姫が、いやがりながら駕籠で池まで担ぎ上げられ、『昼でも星が出るものかいのう』と嘘をついて駕籠屋の目をそらし、池へ飛び込んだ。駕籠屋が呼びかけると姫の櫛が浮いてきた。以来ここに今櫛を祀り、女が登ると祟るという。姫が死んだ時は大雨が降り、流れた駕籠と棒にちなむ駕籠田・棒田という田が残る。池の水は日照りの田へ配る雨乞いに用いられた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。