貯水池まで乗せた娘の消失
どんな伝承か
昭和五十七、八年ごろ、西多摩郡瑞穂町の箱根ケ崎あたりで、自動車事故で亡くなった娘の幽霊が出るという話が広まった。娘は夜になると道端に立っていて、通りかかったタクシーを止めて乗り込む。行き先を尋ねると、貯水池まで連れて行ってほしいと答える。ところが貯水池に着いて運転手が振り返ると、いつの間にか姿は消えていて、車内には誰もいない。噂は騒ぎになり、人々は夕飯を早めに済ませて見物に出かけたが、亡霊を見た者はいなかった。おかげで近くの畑が踏み荒らされて困ったと語られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
所沢市史 民俗編(所沢市史)
『所沢市史 民俗編』は、所沢市の市史の民俗編から、第一二章「口頭伝承」の一部を収めたものである。ヘビや天狗・カッパ・雷獣の話に続けて、世間話の「不思議な話」としてカラス鳴き・人魂・死の予兆・夢・木の祟り・生き霊・幽霊騒ぎ・タクシーの幽霊などを、市内の話者からの聞き書きで記す。話ごとに題を立てて同じ題の話を番号で並べ、話者の性別などを添え、ホラ吹きやオトウカドンの話も続ける。