海に沈められた男を祀るシュウサイ様
どんな伝承か
五島の青方にシュウサイ様という漁の神がある。この人は村の収入役のような事をしていて、自分で金を盗んだにもかかわらず知らぬ顔をし、浦人に白状させようと護摩の灰まで飲ませたが、ついに悪事が露顕して村人のために海へ沈められた人だという。その怨霊の祟りは甚だしく、この人を祀るまでは漁がなくなり、海に出ると柄杓を貸せと脅した。ほかに草履を貸せとも言い、自分を殺した時に用いられた船の持ち主の家には今でも船を作らせない。いくら造ってもすぐ壊れてしまうという。
原典より
川西の竹原部落の親戚の嫁入祝儀に行った玉川東の長野二日町、佐々木ミツという四十五歳の女が、五歳の男の子を連れて夜中に帰って来る時、舟の渡し守が向う側の小屋にいたので、自分で子供を乗せて渡し場の綱をたぐった。—— 現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。