盆の漁で浮かぶ生首と草履に化けた鯖
どんな伝承か
福岡県遠賀郡芦屋町で、今から凡そ三十年前のこと。芦屋の人が四人連れで盆の十五日の晩、必ず漁を休むべき禁を犯して沖へ鯖をとりに行った。鯖は大変よく獲れたが、そのうち人の首が海面に浮かんで来て、笑ったり転がったりして気味が悪い。急いで逃げ帰り、獲った魚だとばかり思っていたものを見ると、皆それは草履であった。やがて四人は次々に発狂して、一人が死に二人が死にして、皆死んでしまったという。それだから盆には漁に行くものではないというのである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。